全国どこでも味わえるスタバのコーヒー。店舗で淹れたてを飲むだけでなく、スティックタイプなどで自宅でも手軽に楽しめるようになりました。スターバックスは2021年、日本上陸25周年を迎えたそうです。

1996年、東京・銀座松屋通りの1号店で注文された「ダブル トール ラテ」が、日本最初の1杯だったそう。
この店で10数人のパートナー(店舗スタッフ)から始まったスターバックスは、いまや全国で1600店舗を超え、およそ4万人のパートナーが、週に500万人の来店客を迎えています。
「近くにある店」にこだわる理由

コロナ禍の2020年、1200店舗を一時的に休業した一方で、100店を新規出店。スターバックス コーヒー ジャパンCEOの水口貴文さんは「2024年末までに全国で2000店舗を目指す予定」だと語ります。
「コロナ禍では、人と会うこと、話せること、温かみを感じることの価値の大きさを改めて実感したのではないでしょうか。だからこそ、不安感がなく人が動けるようになったときに、期待に応えられるよう準備していきます。スターバックスが自分の街にあってよかった、と思ってもらえるようにしたい」
伝統工芸品がグッズに
「全国1600店舗には、1600通りの店舗デザインを採用しています」。スターバックス コーヒー ジャパンCMOの森井久恵さんはこう話します。
「何店舗になっても、一つひとつのお店がそれぞれの地域や文化に敬意を払い、地元の誇りを体現していきます。地域への貢献は、これからも変わらず大切にしていく柱です」
同じ質と味のコーヒーを提供しつつ、店舗ごとに「地域らしさ」を打ち出して、どことなく"個人商店風"だったりするのもスタバの特色です。

例えば、地元の店舗のみで販売しているシリーズ「JIMOTO made Series」は、地元の産業や素材を取り入れたオリジナル商品。
津軽びいどろのグラスや、山梨の伝統工芸品「甲州印伝」のスリーブをまとった陶器カップなど、わざわざ買いに行きたくなるような限定グッズです。

有名な観光地などに28店舗ある「リージョナル ランドマーク ストア」は、地域に融合した建築デザインで、伝統や文化の発信拠点になっています。
3月にオープンした三重県の「伊勢 内宮前店」は、従来のスタバのイメージを覆す2階建ての木造建築で、暖簾(のれん)、鬼瓦などモチーフにもこだわっています。
「スターバックスがスターバックスである大きな理由は、エンゲージメントの高いパートナーがいること。パートナーの地元愛が本質的な地域貢献につながっています」(森井さん)
「カップをシェアする文化を」

また、今年10月末までに全国約350店舗で、店舗ごとに使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることで、CO2排出量の削減を目指すといいます。
脱プラスチックの取り組みでは、すでに紙ストロー、アイスドリンクの紙製カップ提供などを実施しており、9月からはフラペチーノも紙製ストローで提供します。
今年秋には、東京・丸の内エリアの店舗で「カップシェアリング」を試験的に導入。再利用できるカップを貸し出し、エリア内の対象の店舗に返却してもらうことで、カップを繰り返し使う取り組みを始めます。
「25年前にカップを持って歩く文化を生みだしたスターバックスから、みんなでカップをシェアする文化へと一歩を踏み出せたら」と、CEOの水口さん。
こうした環境面での取り組みの基準をつくるため、サステナビリティに重点を置いたリーディングストアを2021年12月、皇居外苑の和田倉噴水公園にオープンすることも発表しました。