新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経済的・精神的な不安を抱えるシングルマザーを支援する情報サイト「ひとりじゃないよPJ」が発足した。
5月7日にオンラインで記者会見した呼びかけ人は、アンケート調査で明らかになったシングルマザーの生活実態や意見を報告した。
シングルの母親の平均年収は父親の約半分
休業によって収入が減ったり、休校中の子どもの面倒をひとりで見なければならなかったりするシングルマザーを支援したいと、タレントの小島慶子さんや女性の就労支援に取り組む「Will Lab」代表の小安美和さんら有志7人が呼びかけ人となって発足したプロジェクト。
厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、シングルマザーの平均年収は約200万円で、シングルファーザーの約半分でしかないことから、このプロジェクトではシングルマザーの支援の必要性に焦点をあてたという。
8割が経済的に「苦しい」
プロジェクトは、全国のシングルマザーを対象に5月1日から3日までにインターネットでアンケートを実施し、124人から回答を得た。経済面での影響については91.9%が「影響があった」と回答し、82.3%が「苦しい」と答えた。
勤め先の都合や休業によって収入が減ったという人が73.4%と大半を占め、解雇された / 雇用契約を打ち切られた / 退職したなど、職を失ったという人も9人いた。
学校や保育園の休校・休園の影響も大きい。働ける時間が減ったために収入が減ったというだけでなく、食費や光熱費などの出費が増えたという支出面の影響もあった。
「食費を切り詰めた・切り詰めることになりそう」と答えた人は74.2%にのぼり、家計の逼迫や休校中に給食がないことによる、子どもの食生活を懸念する声もあがった。
「就学援助で無料だった給食がなくなったので、食事の支援がほしいです」
「私の住んでいる地域では、公共料金の支払いに関しての期限猶予などがあるわけでもなく、給付金も5月末頃まで申請書さえ送られてこないとのこと。支払いができず、収入も入ってこなくなり、ガスも止まっている。家賃も支払えなかった」
「仕事の収入も安定していない、感染におびえて毎日過ごし、イライラもあり疲れています。子どもたちも外へ行くことを我慢させ、自宅での出費も増えています。物資やお金の支給を早くお願いしたいです」
(アンケートの自由記述より抜粋)
孤立しやすいシングルマザー
調査を担当した小安さんは、シングルマザーは特に孤立しやすい環境にあるため、心理面での影響が深刻だ、とみる。
「離婚した女性を自業自得だと責める風潮が少なからずあることから、シングルマザーは友人や親、自治体に助けを求めづらいという背景があります。さらに外出自粛によって、相談相手がいない場合には、より孤立しやすい状況にあるのではないでしょうか」
アンケートに回答したシングルマザーの96.8%が不安やストレスを抱えており、解決を助けてくれる人がいると答えた人は約半数にとどまった。
「誰も頼れる人がいない人は、どうしたらいいんだろう。コロナに限らず保証人問題など、シングルには問題がたくさんある」
「先の見えない暗いトンネルにずっといるような気分です」
「毎日不安で胸が張り裂けそう」
「私の周りでは、コロナで死ぬか、経済破綻で死ぬかという声ばかりあがっています。私自身ももちろん、明日生きてられるかと不安で仕方ない」
(アンケートの自由記述より抜粋)
「いますぐ現金給付を」
いま必要な支援については、「いますぐの現金給付」が84.7%と、シングルマザー世帯の緊迫した状況が明らかになった。
同時に、長期的な支援や情報提供も必要だとして、プロジェクトのサイトに女性や子どもたちを支援している団体の情報を掲載することで、シングルマザー当事者への情報提供につなげるとともに、支援の輪を広げたいという。呼びかけ人の小島さんはこう話している。
「子どもの貧困の背景にある女性の貧困についても知ってほしい。特別定額給付金の寄付を考えている人がいたら、困っている女性や子どもたちのために、ぜひ思いを力に変えてもらえたらと思います」