性暴力の被害を経験した人たちが声をあげ、連帯する #MeToo キャンペーン。
2007年、タラナ・バーク氏が創設したこのキャンペーンは、10年後の2017年、大きな盛り上がりをみせた。
2018年1月7日、ゴールデングローブ賞授賞式に出席した「#MeToo」創設者のタラナ・バーク氏(左から4人目)
多くの著名人が加害者として告発され、失脚もした。告発した人に共感する声もあれば、批判もあった。
日本でも#MeToo が浸透した、ここ1年あまりの報道を振り返る。
シリコンバレーのセクハラ文化が明るみに
配車サービスを手がけるUberの元女性エンジニアが、ブログで上司から性交渉を求められるなどのセクハラを告発。トラビス・カラニックCEOが2月21日、全社員に謝罪した。
「私はレイプされた」。顔を出して実名で告発
ジャーナリストの伊藤詩織氏(当時は姓は非公表)が、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏が不起訴になったことを受け、検察審査会に不服申し立てをし、5月29日に記者会見。2015年3月、就職相談をしたところ食事に誘われ、意識が戻ったときにホテルでレイプされていることに気づいたという。
プロデューサーの性的暴行でハリウッドが大混乱
ニューヨークタイムズが10月5日、ハリウッドのプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏が20年以上にわたってセクハラや性的暴行をしていたと報じたことをきっかけに、映画業界で働いてきた20人以上から被害証言が相次ぐ。ワインスタイン氏はのちに解雇された。
日本でも「私も」「もう黙らない」
女優のアリッサ・ミラノ氏が10月15日、Twitterで、性暴力の被害を受けたことがある女性たちに「MeToo」と声をあげるよう呼びかけた。
ハリウッドだけではない。スポーツ界のハラスメント
オリンピック金メダリストのマッケイラ・マロニー氏が、体操アメリカ女子代表のチームドクター、ラリー・ナサール氏から性的虐待に遭っていたと10月18日、Twitterで告白した。13歳の頃からだという。
法や制度に救われない苦しみがある
伊藤詩織氏が姓も公表して手記『Black Box』を10月18日に出版。9月22日に検察審査会で「不起訴相当」の判断になったことに疑問を投げかけた。
男性の被害もあった
俳優アンソニー・ラップ氏が、14歳だった1985年にケヴィン・スペイシー氏から性的な誘いかけを受けた、と10月29日、BuzzFeedのインタビューに語った。その後、多くの男性たちによって不適切な性的行為を告発され、スペイシー氏は謝罪。主演していたドラマ「ハウス・オブ・カード」を降板した。
被害者の周りの「水温を上げて」
元厚生労働事務次官の村木厚子氏が、11月13日にあった性犯罪被害をテーマにしたシンポジウムで、幼い頃の被害経験を告白。「被害者が声をあげられるようにするには、周りが努力しなければならない」と指摘した。
職場のハラスメントも告発された
ブロガーのはあちゅう氏が、大手広告代理店に勤務していた頃に、上司だった著名クリエーターからパワハラを受け、退職後も嫌がらせをされた、と証言。クリエーターはBuzzFeed Japanの取材の回答を12月16日にブログに公開し、経営していた会社の社長を辞任した。
「私も」と続々と声があがる
グラビア女優の石川優実氏が12月21日にブログで、グラビアでの過度な露出や、営業と称して性的行為を要求されたことを告白した。
黒いドレス、白いバラで連帯を示す
1月7日のゴールデン・グローブ賞授賞式で、多くのハリウッドセレブが黒のドレスやスーツを着てセクハラや性暴力に抗議。1月28日のグラミー賞授賞式でも、ミュージシャンたちが「白いバラ」をつけて「MeToo」「Time’s Up」の運動に連帯を表明した。
#MeTooムーブメントは行き過ぎとの批判も
女優のカトリーヌ・ドヌーヴ氏は1月9日、100人の女性の連名で「口説く自由を認めるべき」とセクハラ告発を非難する文書をフランスの「ル・モンド」紙に掲載。1月14日、単独署名で「リベラシオン」で被害者に謝罪したが、「MeToo」ムーブメントへの違和感は改めて表明した。
声をあげた人をひとりにしない
すべてのハラスメントと暴力を許さず、声を上げた人を支えるプラットフォーム「#WeToo Japan」が2月22日に設立。3月3日に東京都内で設立イベントを開いた。
スポーツのパワハラが続々と
日本レスリング協会の栄和人氏が、レスリング女子で五輪4連覇の伊調馨選手にパワハラ行為をしたとする告発状が内閣府に提出されていたことが判明。栄氏は4月6日、強化本部長を辞任した。
写真家とモデルの関係が問われた
写真家、荒木経惟氏のモデルを16年にわたってつとめていたKaoRi氏が4月1日にブログで、荒木氏からモデルとして尊重されていなかった、と告白。「同じような目に遭う人を減らしたい」とBuzzFeed Japanの取材に語った。
「モデルは物じゃない」
モデルの水原希子氏が4月9日、投稿から24時間で消えるインスタグラムのストーリー機能でKaoRi氏の告発に触れ、自身も撮影のときに無理強いされた経験があると告白した。
「セクハラ罪はない」
財務省事務次官だった福田淳一氏による女性記者へのセクハラ発言疑惑が週刊新潮で報道され、テレビ朝日が被害者は同社社員であると発表し、4月19日に記者会見。麻生太郎財務大臣が「セクハラ罪という罪はない」などと発言したが、福田氏は辞任し、財務省はセクハラ行為を認定した。
背景には、圧倒的な上下関係がある
日本大学アメリカンフットボール部の選手が5月6日、試合中に悪質なタックルをして関西学院大学の選手が負傷。日大の選手が記者会見し、監督からの指示だったと話した。日大アメフト部は公式試合の出場資格停止処分となり、7月30日、監督とコーチは懲戒解雇処分となった。
声をあげるのが難しい構造がある
アイドルグループ「虹のコンキスタドール(虹コン)」の元メンバーが、プロデューサーで運営会社ピクシブの社長を提訴。5月7日に東京地裁で第一回口頭弁論があった。BuzzFeed Japanの取材に、旅行先で同じ部屋に泊まるよう強要されたり、全身マッサージをさせられたりしたと話した。社長はのちに辞任した。
ハラスメント体質が生まれていた
日本ボクシング連盟の会長だった山根明氏が、公的助成金の流用や不正判定、パワハラなど12項目の不正の疑いがあるとして、都道府県連盟の幹部や選手ら333人が日本オリンピック委員会(JOC)などに告白状を送っていたことが判明。山根氏は8月8日、会長の辞任を表明した。
指導の方法が問われた
日本体操協会が8月29日、リオ五輪体操女子代表の宮川紗江選手に暴力行為をしたとして、コーチを無期限登録抹消処分に。宮川選手は「協会側からパワハラを受けた」と記者会見で話した。協会は第三者委員会を設置した。
ネットテレビのあり方も問われた
インターネットテレビAbemaTVの「極楽とんぼKAKERUTV」で生放送中に酒に酔った男性陣からハラスメントに遭ったと、出演した女性がBuzzFeed Newsに告白。番組制作会社は女性に謝罪し、アーカイブは視聴できないようになっている。
過去の暴行も問われた
ドナルド・トランプ米大統領が最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏に10代のときに暴行されそうになったとして、カリフォルニア州の大学教授が9月16日、実名で名乗り出た。カバノー氏は10月6日、最高裁判事に就任した。
そして、責任の所在が問われる
愛媛県の農業アイドルグループ「愛の葉Girls」の大本萌景氏が3月に自殺した背景には所属事務所からのパワハラがあったとして、遺族が10月12日、慰謝料を求めて松山地裁に提訴した。
ハラスメントをなくすにはどうすればよいのか。
ハラスメントのない社会をめざすプラットフォーム「#WeToo Japan」は11月3日、イベント「#MeTooから1年。変わったこと、変わらなかったこと、変えなくちゃいけないこと。」を開く。
【日時】 2018年11月3日(土)15時〜17時
【場所】 TKP東京駅丸の内会議室カンファレンスルーム3
【会費】 1000円
【登壇者(予定)】
・ジャーナリスト 伊藤詩織さん
・一般社団法人 ちゃぶ台返し女子アクション 代表理事 大澤祥子さん
・メディアで働く女性ネットワーク代表世話人 林美子さん
・Founder of McCANN MILLENNIALS APAC Create Director 松坂俊 さん
#MeTooが始まってからの1年間に何が起こり、何が変わったのか。これから変えていくことは何か、参加者とともに考えるイベントだ。
BuzzFeed Japanは #WeToo Japan のメディアパートナーとなっており、ハラスメントのない社会にするために、客観的な立場からこの動きを報じていく。イベントでは古田大輔・創刊編集長が、パネルディスカッションのモデレーターをつとめる。
詳細・申し込みはこちら。
「#WeToo Japan」趣意書より


