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休日はメール禁止 仕事が好きすぎる人が休むために、ルールを作ってみたら...

Google流・週末デジタルデトックス。

Google東京オフィスのあるチームには、働き方のルールがいくつかある。

  • 22時以降はチャットをしない
  • 週末はメールをしない
  • 週末に連絡が必要な場合は電話で
  • 会議は18時以降に設定しない


モバイル端末によっていつでもどこでもチャットやメールができるようになり、長時間、会社に縛られなくても支障なく働ける。好きなときに仕事ができることを、メンバーは歓迎していた。

それなのにルールをつくり、あえてオフの時間を設けるのはなぜか。

「しっかり休んでこそ、成果を出せるのです」

チームを率いる、Google専務執行役員CMOでアジア太平洋地域マネージングディレクターの岩村水樹さんはこう断言する。休むことの大切さなどを著書『ワーク・スマート〜チームとテクノロジーが「できる」を増やす』に書いた岩村さんに、BuzzFeed Newsは話を聞いた。

このルールができたのは、2011年3月に起きた、東日本大震災の後だという。

Googleのミッションは、テクノロジーで社会課題を解決することだ。震災後、消息者情報を共有する「パーソンファインダー」を開発するなど、テクノロジーの力で役に立とうというプロジェクトが手探りで始まった。

社員は使命感に燃え、やりがいを感じていた。誰も休まない。誰も弱音を吐かない。自分やチームがハードワークになっていることに、誰も気づかなかった。

しかし、データは現実をはっきりと示した。

グーグルでは、全社員対象の匿名の意識調査「グーグルガイスト」を毎年、実施している。質問に5段階で答えることで、会社のミッションの浸透度や個人のやりがい、チームの課題を把握するものだ。

岩村さんのチームは、この調査で「Well-being」(身体的、精神的に良好な状態)の数値が、前年より低くなっていたのだ。

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基本的には、私を含め、働くのが大好きなメンバーたちなんです。でもWell-beingの数値は低かった。ショックでしたね。

そこで、オフサイトをすることにしました。オフサイトとは、日常の業務を離れ、オフィス以外の場所で集まって議論をしたりアクティビティーをしたりすることです。

「大人の夏休み」と称して、海辺に行きました。子どもを連れてきたメンバーもいて、サンドアートをしたり、ワーク・ライフ・バランスの改善案を話し合ったりしました。

当時は、社内チャットに表示されるステイタス(状態)が、常にオンラインであることが賞賛されるようなカルチャーがありました。

長時間労働を勧めているわけではないにしても、「彼女よく働くね」「遅くまでがんばっているね」といった何気ない言葉の端々で「このワークスタイルが理想だ」というメッセージを突きつけてしまっていました。

議論するうち、そんなカルチャーが、お互いにプレッシャーを与えていたことに気づいたのです。実際、みんなすごく疲れていた。

そこで、発想を逆にすることにしました。働き続けることよりも、メリハリをつけて休むことを奨励しよう、というものです。決めたのが、冒頭のルールです。

休むことを宣言する

休みをとるだけではなく、周りに休みであることを表明しなければ、本当の休みにはなりません。

「週末はメールをしない」というルールを作っておけば、週末にメールを確認しないで済みます。覚えているうちに返信したい場合にも、書いたものを下書きフォルダに保存しておき、休み明けに送るというルールにしました。

自分が働いていない時間を明らかにするために、Googleカレンダーやチャットなどテクノロジーの機能を使います。チャットはログアウトしてしまう。あるいはステイタスがオフラインになっていれば、反応がないのが当たり前だとわかります。どうしても連絡をとりたい時は電話をするようにします。

カレンダーはチームで共有しています。休みだけでなく、自分が確保したい仕事の時間も、あらかじめブロックしておきます。メンバーはそれを見てミーティングを入れます。レビューが必要なものは仕上げて渡すタイミングを計画し、この時間までに戻してほしい、と伝えます。

チームに関わることにはルールを作りますが、自分で自分の仕事をコントロールする自立性も尊重しています。

その前提としてチームで確認しておくのは、最終的にいいアウトプットを出すんだよね、ということ。あとはどのように仕事をするかは、一人ひとりに任せます。

ここでもカレンダーを使っていて、この仕事にかける時間はここまで、と自分でお尻を決めます。与えられる、やらされるのではなく、仕事のオーナーシップを持つ。それは働くモチベーションや、新しいことを生み出すイノベーションにつながります。

ここで上司が大事にしたいのが、管理ではなく信頼です。マネジャーは部下を管理することに意識が集中しがち。机に何時間座っていたとか、夏休みを返上してがんばっているとか言ってしまったら、それがカルチャーになってしまいます。

時間で管理するのではなく、こういうインパクトを出したいからやり方は任せるよ、と伝える。管理を放棄すると、仕事のペースが落ちる人もいるかもしれませんが、信頼して任せたときに出てくるインパクトのほうがはるかに大きいと思います。

自分で仕事を作る意欲をもち、能力をつけ、アウトプットにつなげる。自分がオーナーだというのが一番の、働く喜びになります。

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休むことの「Why」を考える

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「#HappyBackToWork」キャペーン

Googleは、テクノロジーを使って女性の活躍を後押しするプロジェクト「Women Will」を実践している。日本では岩村さんが中心になり、働き方改革を提案。2015年、働く女性を応援する「#HappyBackToWork」キャンペーンを発足させた。当初の目的は、女性の活躍や復職支援だったが、いまは男女問わずあらゆる人の働き方を変えることを目指している。

1100社以上のパートナー企業と「未来の働き方トライアル」などさまざまな取り組みを実施。働き方改革の実証実験をし、その結果をもとに「働き方改革推進ガイド」と「働き方改革実践トレーニング」を公開している。


Women Willの活動を通して、多くの企業の方とお話すると、働き方を改革しなければいけない、という認識はあるものの、なかなか具体的な改革には至っていないようです。その大きな理由は二つあります。

一つは、働き方を改革するための「How(どうやって)」が確立していないこと。そしてもう一つが、「Why(なぜ)」が腹落ちしていないことです。

仕事はおもしろくて、誰かの役に立ちたいし、やりがいもある。期待に応えたら感謝される。楽しくて働いているのに、なぜ働き続けてはいけないの。こんな感覚です。

振り返ると私も、私のチームも、働くことが大好きでそう感じていましたから、これからはこの「Why」をどう腹落ちしてもらうかが重要です。

なぜ、休まなければいけないのか。

効率的にスマートに働いたほうが、最終的にいい成果が出せるからです。

ずっとマラソンを走っていると疲弊します。バッとパフォーマンスを出さなければいけない時と、しっかり休む時があって、そのインターバルをアスリートのように自分でメンテナンスできることが大切です。

1日の労働時間が長くなれば、集中力が途切れ、仕事が回らない時間が必ず出てきます。しっかり休み、しっかり寝て、心身ともに調子を整えること。また、家庭の状況などで働き方を変えたい時には、安心してそれを言える環境があること。

そんな働き方のほうが効果があるということは伝わりにくかったりもするので、おすすめはデータをとることです。在宅勤務をやってみた、退社時間を早めてみた、などトライアルをして、その前後にメンバーにアンケートをとるなどして、データで比較検証します。

どうやって休むのかの「How」、なぜ休むべきかの「Why」をもっと伝えていくことが、働く人たちの健康や満足度、仕事のパフォーマンス、ひいてはイノベーションにつながるはずです。


「働き方」を考えるときに大事なのが「休み方」。政府は今年度、「働き方改革」に続いて「休み方改革」を進め、一部企業では週休3日制を導入するなど、休むためのさまざまな取り組みが広がっています。休むことは、私たちの生活の質の向上や健康につながります。

BuzzFeed Japanでは7月20日〜26日の1週間、私たちがより休暇をとり、楽しむことを奨励するコンテンツを集中的に配信します。


Akiko Kobayashiに連絡する メールアドレス:akiko.kobayashi@buzzfeed.com.

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