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もう我慢するのはやめよう。生理のつらさを解消する #フェムテック を知っていますか

3月8日は国際女性デー。女性が抱える身体や性の悩みを解決するテクノロジーをテーマに「BeautyTech.jp」とコラボして記事をお届けします。

毎月、訪れるPMS(月経前症候群)。自分で体調管理して仕事を調整するのも難しいのに、そのつらさを周りに伝えるのは至難の技です。

「私の体温は今こんなに上がっているんです。あと2日ほどで生理が来そうです。先月の経血を分析したところ貧血がひどくて......」

データにもとづいて月経を予測し、こんなふうに伝えられたとしたら。

テクノロジーの力で女性たちの課題を解決しようとする「フェムテック(Femtech)」という概念が2019年、にわかに日本で注目されています。

日本でいち早くフェムテックの動きを報じている、美容業界のトレンドを発信するメディア「BeautyTech.jp」。編集長の矢野貴久子さんに詳しく聞きました。

女性の身体や性の悩みを解決したい

beautytech.jp

BeautyTech.jpがフェムテックを報じた記事

ーー「フェムテック」ってどういうものなんでしょうか?

私たちBeautyTech.jpは、美容業界のイノベーションに特化したメディアとして2017年11月にローンチしました。その関連でヘルスケア分野でにわかに関心が高まっているのが、フェムテック。FemaleとTechnologyを組み合わせた造語で、女性の身体や性に関する課題を解決するためのテクノロジーです。

「フェムテック」という言葉の生みの親は、スウェーデン人のアイダ・ティン(Ida Tin)さんと言われています。彼女がCEOをつとめるドイツ・ベルリンのスタートアップClueが、月経をトラッキングし、データに基づいて生理日や排卵日、PMSを予測するサービスを開発しました。

日本では、18年前にサービスを始めた健康管理アプリ「ルナルナ」が早かったですね。私たちは日本でのフェムテックの先駆けだと考えています。

月経や排卵の管理だけでなく、妊産婦のサポート、骨盤ヘルスケア、生理用品、セクシュアルウェルネスなども、米国ではフェムテックと分類されています。女性が抱える身体や性の悩みを、自宅で信頼できるアプリで解決していけるようになったらどんなにいいだろうという発想です。

sp.lnln.jp

ルナルナ

ーーどんなふうに解決していくのでしょう?

例えば、出産を経験したり高齢になったりすると、尿漏れが起きることがあります。今までは骨盤底筋を鍛えるという昔ながらの体操が一般的な解決法だったのですが、バイオフィードバックできる機器を膣に入れてアプリでコントロールでき、そのアプリを通じて専門家に気軽に相談できるといったものも出てきています。

生理用品についても、米国では、オーガニックやデザイン性の高いナプキンが定期配送されるようにすることで、月経のたびに買いに行く手間が省けたり買い忘れをなくしたりできます。また、月経カップについたセンサーで経血の色や量を記録し、体調管理に役立てるというものもあります。

セクシュアルウェルネスの分野では、女性が開発した女性のための潤滑剤やセックストイなどもあり、それがオンラインで手に入ります。

さらに視点を広げると、女性に限らずトランスジェンダーも意識して開発されたナプキンいらずのクールなサニタリーショーツ、男性からも不妊にアプローチしようとする精子観察キットなど、それぞれの課題を解決するためのテクノロジーもありますね。

lina Ono / BeautyTech.jp

BeautyTech.jpの矢野貴久子編集長

人口の半分が求める市場

こうしたフェムテック分野をスタートアップや既存企業が開拓し、VC(ベンチャーキャピタル)の出資が相次いでいることから、フェムテック市場は、2025年までに500億ドル(約5兆円)規模にまで成長するという予測もあるほどです。

フェムテックはこれまで「忘れられた市場」だったといってもいいかもしれません。女性たちが今まで使っていた美容やヘルスケアとは別に、自分の身体や心の課題を解決するためにお金を使うはずだろうということで投資が集まっています。人口の半分は女性ですから、成長の余力はとてもある市場だと思います。

ーー「言えなかった市場」かもしれませんね。生理は解決できる課題だととても思えないほど、当たり前のように耐えてきたので。

日本はもとより、シリコンバレーも男性の経営者や投資家が主流でしたから、これまで女性が抱える課題をビジネスとして解決していくという視点がなかったのでしょうね。女性たちが起業し、自分の課題を解決するためにテクノロジーを使った商品やサービスを開発しはじめ、それにVCが注目して、ホットになったのは2017年ごろからですね。声をあげるという意味ではハリウッド発の #MeToo の動きも追い風になりました。

フェムテックは課題を解決することだけでなく、課題を可視化するという側面もあるんです。

特に性にまつわることは、周りに相談しづらいし、ネットの情報もすべてが正しいわけじゃないし、お医者さんにかかることの恥ずかしさもあるなど、何重にも壁があります。

フェムテックのアプリで月経周期がグラフになったものを見ると、抱えているつらさをデータで可視化できます。「このデータ見て、ここで体温が上がっている」と話のきっかけにしたり、排卵日の予測もサッとパートナーにシェアできたりします。何よりデザインがクールなんです。

性について話すことは、恥ずかしいことではなく、もっとクールにもっとオープンに話していこうという流れにつながっていってほしいです。

Pxhidalgo / Getty Images

ハードルを下げる

ーー女性がテクノロジーに頼ることに寛容でない風潮もあります。食器洗い乾燥機より手洗いすべしとか、無痛分娩ではなくお腹を痛めて産むべしとか。技術の進化に合わせて、思い込みを変えることも必要かもしれません。

2016年11月のアメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏に破れたヒラリー・クリントン氏は、「私たちは最も高い『ガラスの天井』を打ち破ることはできませんでした。でも、いつか誰かが打ち破るでしょう」とスピーチしました

「女性らしさ」や「男なんだから」や「美しさとはこうあるべき」という呪縛はいまだにあり、それがハードルになってやりたいことができないということも実際まだたくさんあります。

身体の課題については、そのハードルを可視化し、下げていくのがフェムテックの役割です。

例えば、授乳中の母親が子どもに直接母乳を与えられないときに使う搾乳器は、片手または両手がふさがってしまい時間もかかるものがほとんです。オフィスに搾乳室がなくてトイレでこっそり絞っている母親もいると聞きます。でも、アメリカで開発されたある搾乳器は、ブラジャーの中にすっぽり入ってしまうんです。当然、両手も空きます。

乳房のカーブに沿った形のボトルをブラジャーの下に入れられて、仕事をしながらも勝手に搾乳されていきます。オンオフがスマホで操作でき、搾乳した量も記録してくれます。

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com

アメリカの搾乳器のCM

こういうフェムテックなツールが登場すると、これまでハードルだと思っていたことがハードルではなくなる場面が多くなると思います。

搾乳のために時間をかける必要がなくなったり、職場復帰のタイミングを早くできたり、ゆくゆくは仕事と育児の両立がそもそも課題ではなくなるかもしれませんし、男女の身体の仕組みが違うことすらも、ハードルではなくなるかもしれません。

ーー何十年も政治家が考えて解決できなかったことが、テクノロジーで一気に解決するということもありえますね。フェムテックの目指すところはどこなのでしょう。

まずは見えにくい課題、言いにくい課題について、解決の糸口を見つけられること。そのうえで、オープンに議論できるところまで引っ張りあげることだと思います。

例えば、整形手術はまずその是非が問われて、整形したことを隠さなければならないような風潮があります。でも、自分の容姿にコンプレックスがあるというのはその人にとっての課題ですし、そのコンプレックスは社会的な「あるべき見た目」によって作り出された課題だとも言えます。

課題解決するためには、誰にも言えずにひとりで悩んでアンダーグラウンドな情報にたどり着くよりも、どの病院のどの手術が安全で安心なのか、ダウンタイムはどのくらいかなどオープンに情報交換できたほうがいいですし、そういうコミュニティが日本でもいくつか立ち上がっています。性や身体にまつわる言いにくいことも、まったく同じ構造をもっています。

フェムテックによって課題が可視化され、解決に向かうことで、女性たち自身の気持ちのハードルも下がり、身体や性にまつわる会話が自然に、それこそカフェでおしゃべりするような感覚でできるようになるといいなと思いながら発信しています。

いまは、そういったハードルをとりのぞくためにもフェムテックというムーブメントにしていくことが大事ですが、将来的にはそんな範疇もなくなって、女性でも男性でもLGBTQでも関係なく、すべての人のためのヘルステックに集約されていくといいな、と個人的には思っています。

そして最終的には「自分らしさ」を大事にしていくことにつながるといいですね。

Nozomi Shiya / BuzzFeed

3月8日は国際女性デー。BuzzFeed JapanはBeautyTech.jpとPinterestで連携し、女性の課題をテクノロジーで解決する #フェムテック に関するコラボキャンペーンを展開します。

あわせて、ナイキの協賛のもと、Twitterのハッシュタグキャンペーン「#わたしの本気はすごい選手権」も開催。「女らしさ」や「男らしさ」の壁や思い込みを乗り越えるために本気を出したことについてツイートを募集します。

募集期間:2019年3月8日(金)~3月25日(月) 発表:4月4日(木)

BuzzFeed Japan賞(1名) / BeautyTech.jp賞(1名)/ ナイキ賞(1名)/ 花王ロリエ&めぐりズム賞(1名)

※受賞作品はBuzzFeed Japan NewsBeautyTech.jpで発表し、受賞された方には発表後に各賞の記念品を贈呈します。

Nozomi Shiya / BuzzFeed


Contact Akiko Kobayashi at akiko.kobayashi@buzzfeed.com.

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