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いよいよインフルエンザ急増? 2009年に「新型インフルエンザ」として流行したものと同じ型

東京都でインフルエンザが「注意報レベル」となりました。今年よく見られるのは、2009年に「新型インフルエンザ」として大流行した型で、今後の急増も考えられます。

あと2週間で今年も終わろうとしています。いよいよインフルエンザが本格的に流行する兆しを見せてきました。

今日は、先週12月13日に東京都から発表されたデータを参考に、インフルエンザの現状をまとめておきましょう。

東京都では「注意報レベル」に

東京都では、インフルエンザの報告数が「注意報レベル」になったことが発表されました(正式には12/2~12/8までの患者報告数が「流行注意報基準」を超えた状態です) 。

(※注意報とは、流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを示します)

当初は、例年より2ヶ月くらい早い「流行入り」と報道されたりしていましたが、その後の広がりは比較的ゆっくりであったので、それほど早い流行拡大とはなっていません。

しかし、このグラフでもわかるように、これから本格的な流行へと急増してくることが予想されます。

2009年に「新型インフルエンザ」として大流行した型が多い

現在、東京ではインフルエンザAが流行の中心となっており、その中でも特に「AH1pdm09」という型が多くみられています。

このインフルエンザの型は、2009年に新型インフルエンザとして大流行したもので、その後は季節性のインフルエンザとして流行を繰り返しているものです。

手洗い、咳エチケット、早めのワクチンを

インフルエンザの感染経路は、感染した人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛沫(ひまつ)感染」と、ウイルスがついた手などで口や鼻などに触れることによる「接触感染」があります。

特に人が多く集まるところでは、手洗い、咳エチケットなど、感染対策の基本を徹底しましょう。

インフルエンザのワクチンには、A型2種類とB型2種類の合計4種類が入っており、現在流行している「AH1pdm09」型も入っています(正確には、微妙な遺伝子型まで合うかは現時点では不明です)。

ワクチンは、うってから効果がでるまで2週間くらいかかります。流行のピークはこれからなので、まだうっていない人は早めのワクチン接種をおすすめします。

しっかり予防して、年明けにも予想される本格的な流行に備えていきましょう。

参考:『インフルエンザの流行状況(東京都 2019-2020年シーズン)』

【今村顕史(いまむら・あきふみ)】がん・感染症センター 都立駒込病院 感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。駒込病院感染症科のウェブサイトはこちら