お菓子メーカーのシャトレーゼには「お菓子を食べたくても食べられない人向け」の商品があるのをご存知でしょうか。
例えば、このおいしそうなショートケーキ。
なんとこれ、乳と卵と小麦粉を使わずにつくられたケーキなんです。なので、アレルギーを持った方でも安心して食べられます。
このような“機能性商品”には、どのような想いがつまっているのでしょう。話を聞きました。
試したレシピは100種類以上。アレルギーっ子を笑顔に
ーーアレルギー対応のケーキって珍しいですが、なぜ開発するに至ったのでしょうか。
中島さん(以下、中島):今から20年以上前、現在は商品開発部に所属している、ある社員が、友人の家のクリスマスパーティーへ行った際、一人だけケーキを食べていない子がいるのに気づいたんです。
「お腹が痛いの?」と、聞くと悲しそうな顔で「アレルギーがあって食べられない」と答えたとのことでした。
その後彼はシャトレーゼに入り、この原体験をきっかけにアレルギーの人でも食べられるケーキやお菓子の開発を始めたんです。
ーー乳や卵、小麦粉を使わないお菓子づくりって難しそうです。どのようにつくっているんでしょうか。
中島:
多くの洋菓子には乳、卵、小麦粉が使われているので、一切使えないとなると確かに難しいです。ただ、ここがお菓子メーカーとしての技術や知恵の発揮しどころとも言えます。
乳の替わりに豆乳を使い、卵の替わりに大豆たんぱくを使い、小麦粉の替わりに米粉を使い…。試行錯誤し、ケーキに関しては完成までに100種類上のレシピを試しました。
ーーアレルギーを持つお子さんがいる方からすると、すごくありがたい商品ですね。
中島:お客様からは「子どもが喜んでいる姿を見て、涙が出た」との感想をいただいています。
あとは「アレルギー対応のスイーツは味がイマイチだったけど、シャトレーゼの商品はとてもおいしく、子どもも大満足だった」との声もありました。
全ての人をスイーツでハッピーにしたい
ーーシャトレーゼでは、糖質カット食品も販売しているとか。
中島:現在は糖質を気にしている方にご好評いただいていますが、もともとは今から10年以上前に糖尿病の方に向けて開始したプロジェクトです。
糖尿病の方は、一回の間食で5g程度と糖質が制限されています。食べられるものが本当に限られてしまうので、普通のケーキや砂糖を多く使ったお菓子はまずダメなんですね。
商品はアイスやケーキ、和菓子などのラインナップがあり、中でも一番人気は「糖質86%カットの濃厚チョコショートケーキ」です。
コーティングとクリームに使われているチョコの本格的な濃厚さがありながらも、1個あたりの糖質を5g未満に抑えているので、その満足感とのギャップに皆さん口をそろえて「信じられない!」と驚かれます。
ーーこちらもおいしそうですね。糖質にきびしい制限があっても、挑戦するのはなぜなんでしょうか。
中島:私たちには「この国の笑顔の理由になろう」という目標があります。だから、商品開発に携わる人間はいつも「一部の方はおいしいスイーツが食べられないという状況を変えたい」と考えています。
決して採算性がいいとは言えないものでも、シャトレーゼがやらなきゃいけないという使命感があります。
老若男女、健康な方も病める方も、おやつを楽しみたい全ての方たちに応える気持ちで、これからもお菓子づくりを続けていきます。