イギリスの歌手レックス・オレンジ・カウンティが、6件の性的暴行の罪で起訴され、歌詞などのタトゥーを入れているファンからは、後悔や失望の声があがっている。
10月10日、レックス(本名アレックス・オコナー)は、イギリスの裁判所に出廷し、無実を主張した。6月に2日間にわたり女性1人に対して性的暴行を加えたとして、6件の罪で起訴されている。審理は2023年1月3日に始まる予定だ。
レックスの広報担当者は、BuzzFeed Newsに対して次のように文書で回答した。
「アレックスは(性的暴行の)申し立てにショックを受けていますが、容疑を否定しており、法廷で潔白を証明することを心待ちにしています」
「裁判が進行中のため、これ以上のコメントはできません」
ケーラ・エリスさん(19)は、レックスの歌にちなんだテレビのタトゥーを前腕に入れている。性的暴行の容疑がかかっている彼を、即座に非難した。
「私は『Television / So Far So Good』のタトゥーを入れている。壁には『apricot princess』のレコードを飾っている。冷蔵庫は、レックス・オレンジ・カウンティのステッカーだらけ。胸が張り裂けて、めちゃくちゃ頭にきている」とエリスさんは、Twitterに書いた。
エリスさんは、5年前からレックスのファンだ。
「被害にあった人のことを思うと、心が打ち砕かれました。すぐに泣き出しました。もう前と同じにはならないと思ったからです」
2017年の曲「Television / So Far So Good(テレビジョン/ここまでは順調の意)」にちなんだタトゥーは、今年の初めに誕生日祝いとして入れたという。
この曲は「魂の一部みたいなもの」だとエリスさんは説明する。
「歌の最後のほうに『いまのところ順調』という歌詞があって、根底に希望がある。タトゥーには、その意味を込めています」
「どんなに悪いことが起きても、未来に希望を持ち続けられるように」
自身も性的暴行を受けた経験があるというエリスさんは、今回の事件に胸を痛めている。
「性的加害を受け表に出てくるのは、かなり大変だと思います」
エリスさんは、レックスへの支持を表立って撤回しているファンのひとりだ。彼のレコードを壁から剥がしたという。かつて感じていた「誇りや憧れ」の気持ちがもうないからだ。他にも多くのファンが、アルバムや商品を捨てる動画を投稿している。
ニコル・ラミレスさん(23)は2017年、大学1年生のときにレックスの虜になった。そしていま、歌のタトゥーも含めて、彼を支持するか考え直している。
「かかとに入れたレックス・オレンジ・カウンティのタトゥーを見つめる私」
「失望しています」
被害者のことを思うと心が痛む、とニコルさんはBuzzFeed Newsの取材に答えた。
「ファンだからと楽観視しがちですが、今回の事件は楽観視できません。ほかのファンもそうだと思います」
ニコルさんは、2018年夏にリリースされたレックス・オレンジ・カウンティの曲「Sunflower(ヒマワリ)」にちなんで、小さなヒマワリ2輪のタトゥーをかかとに入れている。
「最初にこの歌を聴いたときに、ぐっと引きつけられて、自分のために作られた曲だと初めて思いました」
「特に『ヒマワリは夜も成長する』という歌詞。暗いところでさえ、太陽がいつも輝いていなくても、成長する、変わる余地がある、というのが、私の人生のあの時期にぴったりだったんです」
TikTokでは、元ファンたちが、何年もかけて集めたグッズを捨て、同歌手の「推し」をやめることを知らせる動画を投稿している。
「これからレコードを全部、半分に折って、ポスターを燃やす。もう、いや」とある人は書いている。
レックスの手描きの絵のタトゥーをいれている別の人は、「こんなにがっかりしたのは生まれて初めて」 と投稿した。
また別のファンは「好きな人にがっかりさせられるのは、胸が張り裂ける……」と書き、レコードプレーヤーからレックスのステッカーを剥がす動画を投稿した。
失望をツイートするファンもいる。
「So Far So Good」とタトゥーを入れている元ファン「ああ、うーんと、どうしようね」
「レックス・オレンジ・カウンティを聴いた5年間をどうやったらなかったことにできるの?」
「レックス・オレンジ・カウンティは文字通り、私の人生のサウンドトラックだった。 いまは全然大丈夫じゃないけど、被害者がかわいそう。気分が悪い」
ショックを受けてはいるものの、タトゥーを簡単に変えられない、とエリスさんは話す。デザインはエリスさん自身によるもので、タトゥーそのものに「レックス・オレンジ・カウンティ」とは書いていない。直接的な言及がないため、タトゥーを隠したり、変えたりするつもりはないという。
「でも、もっとレックスのことだとわかるタトゥーを入れている他の人は大変だと思う」
ほとんどの人は、ニコルさんのタトゥーを見て「ヒマワリだ」としか思わないだろうし、レックスとの繋がりには気づかないだろう、とニコルさんは推測する。
「でも私にはデザインの背景や、それが私にとってどういう意味を持っていたのかもわかる」
「だからこのタトゥーを見て、『あーあ』という気持ちになります」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan
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