お願い、死なないでTwitter!毎月いくら課金すれば救えるの?

    お金払わせてくれ〜〜!!

    Twitterが、6秒動画サービス「Vine」の終了を発表しました。2013年にローンチし、約4年間で幕を閉じることになります。

    大きな要因は、Twitter社の業績不振。経営陣の交代、買収の噂からの交渉決裂、従業員リストラなど、「だ、大丈夫なの?」と心配になる不穏な動きもしばしばです。

    経営的には苦戦しているとはいえ、特に日本ではコミュニケーションツール、情報収集手段として愛用している人も多いはず。

    不穏な報道がある度に熱心なTwitterユーザーのみなさんからは同じ悲鳴が聞こえます。

    「早く課金させて!!」

    有料プランがあれば喜んで払うのに! お願い、死なないでTwitter! あんたが今ここで倒れたら私たちの毎日はどうなっちゃうの! と、お布施したい気持ちを持て余している人も少なくないかもしれません。

    ……いや、でも実際、私たちの課金でTwitterを窮地から救うにはいくら払えばいいの!?

    世界規模で見た時、日本市場にフォーカスした時の2点で考えてみます。

    世界(規模で見た時の経営難)を救うには

    まずは、グローバルで見た時の財務状況を見てみましょう。1ドル103円で算出していきます。

    2016年第3四半期(7〜9月)の決算を参照すると、赤字は約106億円。月に35億円程度です。

    Twitterを月に1度以上使用する月間アクティブユーザー数は、全世界で3億1700万人と発表しています。

    赤字を埋めるには月に1度以上使う世界中のユーザーが11円ずつ払えばOK、という計算です。コンビニのお釣りで募金する程度ですね。

    もう少し欲張って、有料課金がもう1つの収入源になることを目指したらどうでしょうか。

    広告と同程度の売り上げを、課金で得るパターンを想定してみます。

    世界規模で見た時の広告収入は約628億円、月に210億円程度となります。

    つまり、広告と同程度の収入をユーザー課金で得るには、全員から月66円徴収する必要があります。ガリガリ君1本くらいの値段になりました。

    上の結果と合わせると、全世界のユーザーが月額77円を課金すれば、広告なしで赤字を回避できる――ようです

    ……まぁ、この計算は「日本国民全員から1円ずつもらえば1億円になるじゃん!」レベルの非現実な仮定ですのであしからず。

    そう考えるとあらためて、ユーザーの意志に関わらず薄く広く、お金を稼ぐことができる広告モデルの有効性を感じます。

    日本の精鋭たちで支えるとしたら

    世界的に苦戦するTwitterですが、日本国内での業績は好調。

    個人、企業、官公庁とユーザーも幅広く、Twitterが最もアクティブに使われている国が日本というのは周知の事実です。

    というわけで「俺たちのTwitterを守りたい……早く課金させてくれ!!」と愛とパッションがあふれそうなツイ廃のみなさん、お待たせしました! 日本国内に限っても計算してみましょう。

    Twitter Japanの2016年4〜6月期の広告売り上げは約63億円で、月20億円程度。

    日本国内の月間アクティブユーザー数は、3500万人と発表しています(2015年12月時点)。

    国内で広告売り上げと同じ額を課金で補うとすると、3500万人のユーザーから月60円集めなくてはなりません。

    現実的に、国内ユーザーの1%の35万人が有料会員になるとして、月額6000円程度となります

    うーん、なるほど。月6000円か……。わりとシビアな数字です。

    ちなみに、グローバルの赤字(約37億円/月)を日本人ユーザーの1%の精鋭たちが集まって救済するとなると、同じ計算で月額1万円ちょっと

    結構、思い切った額になってきました。しかし裏返せば、日本人ユーザーの1%が月額1万円を払えば、黒字化する可能性が? ということでもありますね。

    どのくらい現実的な数字なの?

    数字で言われてもそれってどれくらい? ということで、有料課金と広告収入を並行している他のサービスと比べてみます。

    まずは、国内で有料会員比率が高いサービスとして「ニコニコ動画」を見てみましょう。

    月額540円のプレミアム会員は、6月末時点で256万人。月の収入は13億8000万円と、国内では有数のこの規模になっても、Twitterを救うには遠く及びません。

    次に、グローバルに展開するWebサービスとして、最近日本でもスタートした定額音楽聴き放題「Spotify」と比べてみます。

    Spotifyの有料会員は、この9月に4000万人を超えました。課金比率の高さで知られるとは言え、よ、よんせんまん……ケタが違います。

    スタンダードな月額プランは9.99ドル。決算によると、2015年の年間売上のうち、有料会員費による収入は約2000億円となっています。

    単純計算で四半期に直すと、500億円。Twitterの四半期におけるグローバルの広告収入628億円に迫るような額ですね。これだけユーザーがいると有料課金の収入がかなり膨れ上がることがわかります。

    しかし、Spotify自体は、実は約200億円の赤字。アーティストへのロイヤリティーが増えた結果、前年度より赤字は拡大しています。

    これだけ会員がいても赤字なんですね……難しい世界です。

    身売り難航もささやかれる中、Twitterの行く末は。路線変更し、「お金払わせてくれ!」に応えるプランが生まれる可能性もありえるのでしょうか。