「泳がない」は正しい使い方 ナイトプール、なぜブーム?“インスタ映え”だけじゃない意外な理由

    今、インスタ女子のあいだで話題の「ナイトプール」。いつ頃から話題? どんな人が利用してるの? ホテルやレジャー施設に聞きました。

    「泳がない」プール……? ホテルやテーマパークが大人向けに夜間に営業する「ナイトプール」が、今話題です。

    ライトアップした空間でムーディな雰囲気を楽しめるナイトプール。今若い女性の間で人気上昇中、とテレビや雑誌で多数特集されています。

    ネット上では、利用者の女性の「化粧が落ちるから泳がない」という発言に「それでいいの?」と賛否両論に。

    実際、ナイトプールはどんな人たちが利用しているのでしょうか? ……そもそも、本当にブームなの!?

    BuzzFeed Newsは、いくつかのナイトプールの運営元に利用の実態を調査。ちょっと意外な事実も判明しました。

    インスタ映えを徹底追求! “ゆめかわ”プール

    東京プリンスホテルでは、女性誌「CanCam」とコラボしたナイトプールを営業中。入場料は女性4200円、男性6000円。

    同誌がコラボプールを展開するのは今年で2年目。「SNS映え」をテーマにした特集や付録がどれも好評で、読者の関心が高いことから、インスタ映えに徹底的にこだわったプールを企画しました。

    初年度の反響を受け、今年は東京タワーをバックにおさめられる、フォトジェニックな東京プリンスホテルで実施。

    口コミで人気が広がり、昨年はかなり混雑する日も多かったことから、今年は収容数も2.5倍にアップ。たった2年でも、確実にナイトプール需要は高まっているようです。

    最初からインスタ映えをテーマにしたプールなので、ほとんどの人の目的は写真撮影。スマホを持ってプールに入り、各々撮影を楽しみます。

    かわいいうきわ、LEDライトが光る“ゆめかわ”ボール、編集部がLAで買い付けたビッグフロートなどを準備し、自由に使えるようになっています。至れり尽くせり。

    女性誌の名前を冠するプールであることから来場者の多くも女性。「他のプールより安心感がある」という声も少なくないそうです(男性グループでも入場可能)。

    「かわいい写真を撮りたい♡」のニーズの高まりに応えるべく、プールで遊んだあとにそのまま泊まれる、「どこを切り取ってもSNS映え」をテーマにしたコラボルームも新たに設置。

    「女子会の続きをお泊まりでできる」ということで、こちらの予約も続々入っているようです。すごい!

    日焼けしないプール→思い出を記録する場所

    この数年で確実に熱は高まっているとはいえ、高級ホテルのプールの夜間営業は、今に始まったことではありません。利用者層やニーズの変化は感じているのでしょうか?

    ホテルニューオータニは、2001年にナイトプールをスタート。かなり早い段階から展開してきました。入場料は8000円(宿泊者は2000円)。

    開始当初は「日焼けしないプール」として好評だったのが、近年は「プールで楽しむ姿を記録すること」の比重が年々高まっていると言います。

    もちろん全体としては休日の方が人気ですが、ビジネス街にほど近い場所柄、平日の会社帰りに訪れる人も多いそう。

    盛り上がりをぐっと感じているのは、この3年ほど。2010年から2014年のあいだで利用者はほぼ倍増。上限に近い、ほぼ満員御礼の状態をこの数年は続けているそうです。

    昨年の最盛期は、なんと3時間待ち。……夜、終わっちゃうじゃん!

    「入場いただいても30分で終了になってしまうとお伝えしても『写真撮れればいいので、大丈夫です』とおっしゃるお客様もいらっしゃいました」(広報担当者)

    由比ヶ浜からナイトプールへ?

    ホテルオークラは東京プリンスホテルに比べると撮影用のスポットやグッズは少ないですが、また違ったニーズが。それが「お酒と音楽」です。

    「全国の海水浴場で、海の家でのアルコール提供や音楽の規制が強まる中で『水着でお酒を飲みながら友達同士で楽しむ』ニーズに応える場所として、ナイトプールの存在感が高まっているように感じています」(広報担当者)

    なるほど……そんな社会の変化も影響しているんですね。湘南のビーチから都内のホテルのプールへ。いわゆる“パリピ”も移動しているのかも。

    同ホテルでは、木曜と金曜には人気DJを招いてイベントを開催しています。他のナイトプールを見ても、DJイベントを併催するところは多数ありました。

    本格的な撮影スタジオ付きも登場

    レジャー施設でもナイトプールのブームは進行中。「お台場ウォーターパーク by ハウステンボス」も夜間営業をおこなっています。

    「ナイトプール自体への注目度が年々上がっていることは間違いないと思います。ラグジュアリーなホテルプールを楽しむ層より、さらに若い層にもレジャー感覚で楽しんでもらえれば」(広報担当者)

    入場料は2300円で、複数人のグループ券はさらに安くなります。ホテルプールに比べて価格帯が手頃で、よりレジャー感が強いのが特徴。

    水面へのプロジェクションマッピングや暗闇の中を滑り下りるスライダーなどが人気です。

    こちらの“インスタ映え”施策はかなり本格的。なんとプール脇に撮影スタジオやアートウォールが……!

    インスタグラムを見ると、確かにこの背景で投稿している人がたくさんいます。ポーズも取りやすそう。

    ブームに押され…30年ぶりの復活

    90年以上続く遊園地「としまえん」では今年、30年ぶりにナイトプールを復活。

    「去年頃から『ナイトプール』が話題になりつつあることを感じており、復活に至りました。夜限定のアルコール飲料やフードを提供予定です」(広報担当者)

    18時以降の入場料は1500円。昼と夜でチケットがわかれているケースも少なくないですが、としまえんは1日券(4000円)があれば夜まで滞在できます。

    これまで紹介してきたケースと異なるポイントとしては、来場層の拡大も狙っていること。

    「昼間のプールは、夏休みの親子連れや学生グループがメイン。夜まで営業することで、20代の男女の層も新たに取り込んでいければ」

    「ナイトプール」ブームのポイントは?

    「今、ナイトプールがブーム!」と一口に言ってもポイントはいろいろ。今回の取材で以下のことがわかりました。

    1. 「泳がない」は正しい使い方。なぜなら最初から「撮影」需要をうたっているから
    2. “SNS映え”は年々重要に。ブームは3年ほど前からじわじわと
    3. メイン層は20代女性。「平日、会社帰り」の選択肢にも
    4. 海水浴場のアルコール、音楽規制も後押し
    5. 導入はホテルからレジャー施設へ拡大中