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要するに、私たちは「契約結婚」したいのだろうか?

結婚したい。でも恋愛するのはめんどくさい。この気持ちの正体はなんなの。

「契約結婚、したい?」――この数カ月で、何度か友人とそんな話をした。

そう、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の影響だ。

主人公は、大学院卒業後、無職になった新垣結衣さん演じる森山みくり。星野源さん演じる津崎平匡と“労働条件”が折り合い、「職業:主婦」として「契約結婚」し、同居を始める。

何度かこの話題で話をして、いろんな意見の人がいたけど共通していたのは「まぁ、言いたいことはわかる」だった。

それはつまり、恋愛のプロセスをすっ飛ばして、ビジネスライクなパートナーとして誰かと生活を始めること、に対して。

27歳の私は学生時代から「早く結婚したい」と結構いろんな場面で言ってきたけど、それなりの確率で「素敵なお嫁さんになりたいです♡」の意味だと誤解されてきた。「へえ、意外だね、専業主婦になりたいの?」と聞かれることも多かった。

いやいやいや、違う違う。働くに決まってるよ。

その反応で結婚の2文字に何を見ているのか、人によって違うのがわかるのも面白かった。

人生ゲームのピンを刺す

「早く結婚したい」――もっと明け透けに言うと「結婚という状態を体験してみたい」なんだと思う。

信頼できる誰かと、少し前まで赤の他人だった誰かと、一緒に暮らすのっていろんな発見があるはずだし楽しそうじゃない?

いや、別に一緒に住まなくてもいい。誰かときちんと向かい合って長期的な関係を作っていくのってすごいことじゃないですか。絶対今までと何かが変わるじゃないですか。

これまで自分だけが乗っていた車の隣に、もう1本ピンを刺してみたい(人生ゲームの話です)。

「そんな甘いもんじゃないよ」って言う人も、もちろんいるでしょう。でもやってみなきゃいいことも悪いこともわからない。失敗したらやめたらいい、と素朴に思う。結婚したところで、自分の人生と相手の人生は究極的には別物だ。

おそらく、こう思うのは、自分が働くことが前提だからだろうな。いま、1人は1人ですごく楽しい。時間もお金も自分だけのものだ。自由! 最高!

けど、誰かと2人で同じプロジェクトを遂行していくのは、それでそれで別の面白みがあるんじゃないかって気がする。

「契約結婚したい」はそういう気分に近いんだと思う。結婚は必ずしも恋愛の延長になくてよいのでは? という意識。

「一緒に住んでたら絶対好きになっちゃいますよ」

「逃げ恥」原作者の海野つなみさんが「契約結婚できますか?」と聞かれた時の答えがすごく好き。

私もよく「海野さんは契約結婚できますか?」と訊かれるのですが、気が利いて信頼できる男性が細かい事務仕事や家のことやってくれたら喜んでお金払うし、一緒に住んでたら絶対好きになっちゃいますよ」と言ってます。

わかります、「絶対好きになっちゃいますよ」。ドラマや映画のような運命的な恋でなくても、信頼に基づいた好意って十分一緒にいる意味になる。

多分、恋じゃなくて好意がほしい。運命じゃなくて日常がほしい。華々しいフィナーレじゃなくて、地味なプロセスがほしい。

「仕事」としての恋愛と結婚

近頃、新婚の先輩の幸せなのろけ話を聞いていて、印象に残った一言があった。

「結婚しよっか、の瞬間から、お互いの両親に挨拶して顔合わせして、婚約指輪の価格帯どれくらい? 式場どうする? そもそもやる? って話していくわけだけど、そうやって一つ一つ前に進めていくの、完全に『仕事』なんだよね」

まぁ、そうだよな……。だって生活だからね。ときめきより理性。

そういえば、海野さんも、

「『逃げ恥』を恋愛マンガとして読むか、お仕事マンガとして読むかで読者の人の意見が結構違って、そこをどう考えてもらうかが一番大事」

とドラマの最終回直後に言っていた(その意味では、ドラマは比較的恋愛を中心にしていて、原作の方が「お仕事マンガ」の要素が多いかも)。

これは変な意味ではなく、お仕事的な要素をクローズアップした方が恋愛や結婚を楽しめるタイプって、男女問わずそれなりにいると思う。相手に愛がないわけじゃなくて、他人にドライなわけじゃなくて……。

「契約結婚」て言葉だけ見るとセンセーショナルだけど、恋愛以前に自分の生活がある現状にあってるから、妙にリアリティを持って考えられてしまうのかもしれない。

正しいものなんてないよね

「アラサー女」「恋愛」「結婚」「仕事」なんかのキーワードが共通していて比較されることの多い「東京タラレバ娘」も私は結構好き。

「あの時、ああだったら」「もっとこうしてれば」って「タラレバ」言ってるうちに、気付いたら30歳を超えていた独身の女3人。端から見てるとしょうもないな〜って男に引っかかって悩んだり後悔したりする。

「逃げ恥」と正反対に、とにかく色恋沙汰に振り回される。感情しかない!

「リアルな描写にえぐられる」というより(正直、自分の生活と照らすとまったく現実味はない)、歪んだ自意識とか邪魔なプライドとか友情の裏に潜む薄い嫉妬とか、普段あまり直視したくない、ダサくて滑稽で醜くて、もやもやグズグズした感情の形を突きつけられるのが面白い。

彼女たちの言動や行動に共感しなくても、「ないわー」と思っても、要素分解していくとどこかで“身に覚えがある”何かにぶちあたる。その根源を自省して解き明かしていくセルフ説教コンテンツ、みたいな。

当たり前だけど、本当は「恋人がいない」「結婚できない」=不幸、じゃないんだよね。

でも、自分自身がそこに引っかかっていって、折り合いつけないと前に進めないんだとしたら、ちゃんと向き合ってもがく意味ってあるんだと思う。「結婚しなくてもハッピーだよ!」はその格闘の先にある話だ。

「恋人いなくても、独身でもいいじゃん」は当然真理です。間違いない。そこに引け目や肩身の狭さを感じさせるような雰囲気や環境は、どんどん滅んでいってほしい。周りにも、彼氏いなくても楽しそうな友人たち、独身を謳歌している素敵なお姉さま方、たくさんいる。

同時に「彼氏がほしい、結婚したい」と望むのだって、それはそれでいいに決まってる。「家庭を作りたい」も「子どもがほしい」も、とても前向きな欲求だと思う。

それを「ステレオタイプな押し付けがましい幸せ」とやたらと揶揄するのもなんだか引っかかる。どっちがいいとか悪いとかじゃないもの。幸福のかたちはいろいろあるし、どんな境遇でも最終的には心持ちの話になる。

かわいいも幸せも作れる

結局、独身でも既婚でもバツイチでも、どんな生き方もある程度辛いのだ。きっとね。隣の芝生は青い。ないものねだり。

たまには「タラレバ」言うけど、言っちゃうけど、もし仮に違う人生を送っていたとしたら、また違う悩みや苦しみが絶対あったのだろうし。

自分のことは自分で決めるしかないんだから、少しでもいい気分で過ごせそうな大陸の方角を荒波の中で見定めて、この手で舵を取っていくしかない。与えられた手札で楽しく生きてくしかない。

どんな優先順位にするか、どうありたいのか、悩んで考えて決められるのは楽しいことだ。平成生まれの私は、時代にも環境にも恵まれていたからこういう歩き方ができるんだろう。

必死で戦って居場所を獲得してきたわけでも、仕事や恋愛・家庭の両立を目指して頑張ってきたわけでもなく、目の前にあるものをただひとつずつ拾い集めようとしている。「なんとかそこそこそれなりに、いい感じにやろう」と思ってる。……腑抜けてるだろうか?

まぁでも、私の上陸する場所は私が決めるし、絶対幸せに生きてやる。見てろよ。答えはひとつじゃないし同情も揶揄もさせない。

10代の頃からTVのCMで何度も聞いてきた言葉、「カワイイはつくれる」。いいよね。元気が出る。かわいいが作れるんだから、幸せも作れるんですよ。


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