雑誌の売り上げを大きく左右する、ふろく。女性ファッション誌も毎月のようにバッグやポーチなどを各誌つけていますが、小学生の女の子向けの世界も同じです。
3月発売の「ちゃお」4月号のふろくは、なんとルンバ風のおそうじロボットでした。
何かにぶつかったり、机の端まで来たりすると、自動で方向転換する賢さです。ネットでも「最近の少女マンガ雑誌は家電がついてくるの!?」と大きな話題になりました。
「ちゃお」の値段は税込580円。素朴な疑問ですが、500円代の雑誌でこんな豪華なふろくって……どうなってるの? 編集部に聞いてきました!
「おそうじロボ」は大人向け?
BuzzFeed Newsの取材に応じてくれたのは、「ちゃお」編集部の井上明日香さん。
「4月号の反響、すごかったです! SNSでもかなりバズっていてありがたいですね……動画をあげてくださる方も多く、楽しく拝見していました」
井上さんが話すように、TwitterやYouTubeには「おそうじロボ」の動画がいくつも見られます。となると、もしかして本来のターゲットではなく、そんなバズを狙った“大人向け”だったのでしょうか?
「いえいえ、4月号は新たに手に取ってくれる読者も多いですし、読者がほしいものであることが最重要です。おそうじロボット、小学生の女の子もほしいんですよ」
女の子も「メカもの」が好き
雑誌に付属するふろくの金額や大きさの規定がゆるまり、組み立て式のボックスやステッカーなど、いわゆる“紙ふろく”以外のグッズをつけられるようになったのは2001年のこと。
「ちゃお」は少女マンガ誌の中でも、いち早くふろくに力を入れてきました。
これまでも「メカもの」ふろくの人気は高く「ATM貯金箱」(2015年1月号)、「スマホ型アラームウォッチ」(2014年12月号)などが話題に。
他誌を見ても「なかよし」最新号(2017年5月号)のふろくは「録音できる交換日記」。見た目も、スマホやタブレットを模した外見になっています。
「メカもの」が小学生の女の子に人気! なのは少し意外な気がしますが、「私たちも子どもの頃って、大人が触っていたものがほしかったですよね」と言われて納得しました。
確かに私(1989年生まれ)もPHSに触りたかったし、子どもはダメ! と言われれば言われるほど、あのATMの機械の画面を押してみたかった……。「おそうじロボット」もそこにつながる系譜なんですね。
原価、大丈夫なんですか?
しかし家電になると、文具や小物に比べてきっと結構お高くなってしまいますよね。正直、原価、大丈夫なんですか?
「ええと、大丈夫です(笑)。かなりギリギリではありますが……」
雑誌ふろくは、価格は「本誌が1000円未満の場合、200円まで」(景品表示法)、サイズは「挟み込む箱の厚さは3センチまで」(日本雑誌協会による取り決め)などの規定がある中で創意工夫して生み出されています。
開発には1年ほどかけ、工場と何度もやりとりしながら、機能やコストを徹底して調整してきたそう。完全にものづくりのプロセスの話ですね。へ、編集さんって、そんなことまでするんだ……。
普段のふろくの多くはペンやノートなどの文具や、バッグやヘアアクセサリーなどのファッション小物ですが、こんな風に長い時間をかけて挑戦するふろくも年に一度程度はあるそうです。
「ふろくは売り上げを左右する大きな要素なので、かなり力を入れて試行錯誤しています。街中を歩きながら『これかわいいな、ふろくにできないかな?』と考えちゃいますね。世の中のトレンドを見ながら、新しいことはいろいろやっていきたいなと思っています」
「とはいえ、『ちゃお』はまんが雑誌。ふろくをきっかけに手に取った新たな読者の方に、まんがも楽しんでもらえるとうれしいです」
定番文具も進化してた!
ちなみに、定番の文具のふろくも、時代に合わせてどんどん進化しています。井上さんの最近のラインアップの中から特にオススメを紹介してもらいました。