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アパホテル会長の「中国人の予約は受けない」発言、海外メディアの誤報だった

ブレる報道。なぜ?

中央日報は1月24日付のウェブ版で「日本のアパホテル会長『中国人の予約は受けない』」と報じたが、事実ではなかった。動画に収められた実際の発言と、記事の内容が食い違っていたことがわかった。この記事は、livedoor NEWSやYahoo!ニュースにも配信されていたが、現在は削除されている。

アパホテルでは、南京大虐殺を「明らかな捏造」とする書籍を客室に置いているが、15日、中国からの観光客が書籍についてSNS微博に投稿したのをきっかけに、中国でボイコット運動が起きていた。

ボイコット運動は拡大し、中国政府の国家観光局が「海外旅行の代理店やオンライン旅行サイトすべてに対し、アパホテルとの協力を完全に中止」を要請する事態にまでなった。

これを受けて、アパグループ元谷外志雄代表は19日、「サイトが止まっている状況。予約ができない。中国からも予約を受け付けない」と説明。22日、中国の動画ニュースサイト「梨視頻(梨视频)」がこの発言を、「中国のサイトからたとえ私たちのホテルを予約したいと思う人がいたとしても、受け付けない(中国的网站就算有人想预订我们酒店,也不接受订单)」としたため、誤った報道が広まった。

なお、サイトは24日に復旧。アパグループは「サイバー攻撃と思われる異常なアクセスがあり、その影響によりサーバが停止した」としている。

梨視頻の誤報を受けて、中国のインターネットユーザーは「中国人全員は永遠にアパホテルをボイコットしてほしい」などと批判していた。

同じ22日に環球時報も微博に動画を投稿したが、こちらの動画字幕は「中国で予約を申請しようとしても、できない」という内容で、元谷氏の発言に近い。

だが、翌23日、環球時報の記事では、「日本の右翼ホテル社長が絶対に本を撤去しないと公言 たとえ中国人が予約しても受けないとわめき立てる」といった見出しで報じられた。

同じ環球時報なのに、動画と記事で発言内容にブレがある理由はわかっていない。

環球時報は、中国政府が直接管理しているタブロイド紙。他の政府系メディアと比べて、好戦的な論調で報じることで知られている。

また、韓国の日刊新聞・中央日報も、環球時報を引用し、24日に日本語で「中国人の予約は受けない」と報じた。現在、記事を提供配信していたlivedoor NEWSやYahoo!では削除されている。

旅館業法では、感染症の患者または風紀を乱す行為をする恐れがある場合などを除いて、業者に対して宿泊拒否を禁じている。