「バルセロナ監督のインタビューは捏造」? サッカー専門誌が専門誌を告発

    渦中の双葉社は疑惑を否定

    サッカー専門誌「欧州サッカー批評」に掲載されたFCバルセロナ監督の単独インタビュー記事は、捏造だ――。別の専門紙が掲載した告発記事が、話題を呼んでいる。スポーツ記者であれば誰もが狙う有名監督へのインタビューは、現実のものだったのか。

    告発記事を掲載したのは、3月7日発売の「フットボール批評 10号」。ノンフィクションライターの田崎健太氏が「捏造記事を許すな」と題して執筆した。

    この中で田崎氏は、「欧州サッカー批評 11号」(双葉社・2015年8月発売)が掲載したFCバルセロナ、ルイス・エンリケ監督のインタビュー記事(ホルヘ・ルイス・ラミレス記者執筆)が、取材に基づいたものでないと主張している。

    その理由として、ラミレス記者の活動実績が確認できないこと、FCバルセロナの広報に事実確認をしたところ、「当該メディアのインタビューを一切手配していません」と、取材を受けた事実を否定したことなどを挙げている。

    田崎氏はBuzzFeed Newsの取材に対し、「エンリケ監督が取材を受けないのは有名な話。監督と親しいくらい出入りしているならば、バルセロナ広報が存在を把握していないわけがない」と話す。

    ラミレス記者について、双葉社は「ペンネーム」と回答したというが、田崎氏は「エンリケ監督の単独インタビューを取れる記者が、FacebookもTwitterもやらず、一度限りのペンネームを使っているのは不自然だ」とする。

    田崎氏は「記事の執筆にあたっては、何回もバルセロナ広報とやりとりをした。自信がある」という。

    「フットボール批評」編集長の森哲也氏は「匿名の外国人記者の名前にすれば、日本ではバレない、という思惑があったのでは」とBuzzFeed Newsに話す。

    「欧州サッカー批評」編集長の渡辺拓滋氏は、田崎氏と「フットボール批評」が出した質問状に対し、「実際に取材を行っております」と完全に否定。取材手法や取材日時、取材場所については「お答えする義務はございません」と回答した。このやり取りは告発記事にも掲載されている。

    渡辺氏はBuzzFeed Newsの取材に対し、「実際に取材をしている。フットボール批評の記事は一方的で事実無根」と疑惑を否定。「法的措置含め対応を協議している」と答えた。疑惑の記事の記者や取材過程については、「コメントできない」とした。