ワンオペ育児のおむつCMに賛否、アメリカでは"意外"な反応も

    アメリカの専業ママの理想と現実。

    ユニ・チャームのおむつのCMが「ワンオペ育児」を超リアルに描いている、として注目を集めている。

    BuzzFeedがこの記事を英語に翻訳して配信したところ、日本ではあまりみられない”意外”な反応もあった。

    BuzzFeed ParentsのFacebookページの投稿には、60件を超えるコメントが。

    Facebook: BuzzFeedParents

    「こんな現実ばかりじゃない。私に全部やらせようとする男性なら、私の夫にはならないから」

    一方で、共感する声も。

    「彼女を抱きしめて、いつか抜け出せるよ、と伝えてあげたい」

    「これは私の人生そのもの。父親だって家庭にいたくないわけじゃない。夫は軍隊にいて、私が家庭を支えている。それが現実」

    「この動画は何も間違っていない。夫が工場で週50-60時間働いて稼いでくれるから、私は子どもたちの世話ができる。1人で風呂に入れ、勉強をみて、授乳と歯磨きをし、寝かしつけるのは大変だけど、私がやりたいことなんだから」

    そう。ワンオペ育児を肯定しているような反応だ。こんな意見もある。

    「これは、自分ごととして育児に取り組む母親を賞賛する動画だと思います。母親は強く、自立していて決定権があり、子どもと深い絆で結ばれています。燃え尽きるほどのめり込むなんて、世の中で最高の仕事でしょう? ママはスーパーヒーローなんです」

    アメリカの専業ママの実態はどうなっているのだろう?

    「これこそ母親の人生だ!」と肯定的な意見が目立つのは、なぜなのか。

    ピューリサーチセンターの統計によると、アメリカでは2012年、29%の母親が家にいる専業ママ(SAHM=stay-at-home-moms)だ。

    アメリカでは2013年、高学歴・高キャリアの女性が「男性主導の伝統的な企業社会」に縛られない生き方(=主婦)を選択する『ハウスワイフ2.0』という本が出版された。

    家にいることを自主的に選択するのは「新しい専業主婦」だとして、日本でも翻訳され、話題になった。

    だが実際アメリカでは、日本のように女性活躍推進やイクメンプロジェクトなどの政策はなく、育児休業の制度も整っていない。女性は産後6〜8週で仕事に復帰するのが一般的だ。にもかかわらず、収入の多くは高額な保育料やベビーシッター代に消えてしまう。

    つまり、夫に十分な収入があって働く必要がない母親は「理想」ではあるが、一部にすぎない。ここにも子育ての理想と現実がある。

    日本では、共働き世帯が専業主婦世帯を超えている。ただ、共働きであっても夫は長時間労働、妻が時短勤務やパートタイム勤務をするなどし、妻がワンオペで育児や家事を担うケースが少なくない。

    翻訳記事の反応の中には、こんな皮肉もあった。

    「日本では若くて真面目な父親が『karoshi』で命を奪われている。この広告が描いているのは、夫を亡くして一人で子育てしている母親なのかもしれませんよ」

    この記事はBuzzFeedのSusie Armitageの協力を得て作成しました。

    【訂正】

    一部、翻訳の誤りを修正しました。