日銀マイナス金利って何、生活への影響あるの?

    飯田泰之・明治大准教授に聞いてみた

    日本銀行は29日、マイナス金利導入を決めた。聞きなれない「マイナス金利」。今回の決定はどのような影響をもたらすのか。金融緩和に積極的な「リフレ派」経済学者の飯田泰之・明治大准教授に聞いた。

    1 そもそもマイナス金利って何?

    マイナス金利は普通のお金の貸し借りとは逆に、貸し手側が借り手側に金利を支払うことを指す。

    「今回は日銀と銀行との間の取引に適用されるマイナス金利政策です。銀行が日銀に預金を預ける際、一部に対して0・1%の金利を支払わなければならないというものです」

    お金を預けたら利息をもらうのが当たり前。逆にお金を払わないといけないなんて、そんな変なことを何故するのでしょう?

    「銀行は貸し出しを増やしてはいますが、まだまだ十分とはいえません。銀行が日銀に預ける預金の一部がマイナス金利となることで、銀行はこれ以上日銀に預金しても損をする。そうすると、(預けるよりも)貸し出しに回すことが期待できます

    2 恩恵はどこに?

    銀行と日銀のやりとりにしか、関係ない話かといえばそうではない。中でも影響が大きいのは「そろそろ家を買いたいなぁ」思っている人たち。飯田さんはこう指摘する。

    「過去に同じ政策を実施したヨーロッパ各国の例を見ると,急に貸し出しが増えるわけではないですが、長期金利は下がるでしょう。それを予想してか、今日、長期金利は大幅に下がりました。低金利による貸出増が期待されます。なかでも住宅ローンは下がる余地があります。住宅投資や耐久消費財へのテコ入れによって、景気浮揚を狙おうということでしょう」

    住宅を狙っている人には思わぬ恩恵となりそう。家以外にも、車などローンを必要する大きな買い物が進むことで、景気への好影響も期待できる。円安も進みやすくなり、円安で得をしやすい輸出企業などにもプラス効果が見込まれる。

    3 今後の見通しは?

    「景気は予想よりニュースがいいと上がるもの。今回、私自身は予想していなかったが、プラスのサプライズで景気に好影響をもたらす」と飯田さんは今回の決定に対して、一定の評価を与える。

    一方で、副作用を心配する声も上がっている。

    日本経済新聞は、金利で稼ぐ金融機関への悪影響などを指摘し、「マイナス金利は個人金融資産約1700兆円が投資に向かう契機になる可能性を秘める一方、市場や経済に混乱を招きかねない劇薬といえる」との編集委員の見解を紹介した。

    9人の政策委員のうち4人が反対している点からも、今回のマイナス金利政策が大きな賭けであることが見て取れるという指摘もある。

    CORRECTION

    「借りているほうが、貸しているほうに金利を支払う」を「貸し手側が借り手側に金利を支払う」と訂正します。