大雪で立ち往生したJR。なぜ乗客を降ろすことができなかったのか?

    15時間以上取り残された人もいた。

    1月11日から12日にかけ、新潟県三条市で、JR信越線の普通電車が積雪の影響で動けなくなったトラブル。半日以上にわたって取り残された乗客もいた。

    現場は最寄り駅から300〜400mのところだ。なぜ、15時間も乗客を降ろすことができなかったのだろうか。

    JR東日本新潟支社によると、電車が雪を抱えて止まってしまったのは1月11日午後7時前だ。当初は430人が乗っていた。

    同社広報担当者は、BuzzFeed Newsの取材に経緯をこう説明する。

    「安全のことを第一に考えました。車両は、駅と駅の間の線路に留まっています。周りは田園地帯であり、側溝などもあって、通常の状態でも線路の上を歩くのは危険な場所となっています」

    「この日は、さらに降雪があり、足元がどのような状況になっているかわからない。400人以上の人を誘導する方が危険だという判断をしました」

    そもそも電車から降りること自体が危険だ、との判断が真っ先にされたという。

    危険な道を数百メートル誘導したとしても、その先にある最寄りの東光寺駅は無人駅。一方で、車内は暖房も効いており、トイレも付いていた。

    大雪でバスやタクシーも手配できず

    新潟県三条市でJR信越線の乗客約430人が乗った電車が雪のため立ち往生しました。乗客は11日午後7時ごろから車内に閉じ込められ、朝に家族らが迎えに来た乗客の一部は降車しました。 #信越線 #大雪 写真特集で→… https://t.co/UjJQbU67Xd

    また、並行してバスやタクシーの手配も実施していたが、積雪の状況がそれを阻んだ。

    「合わせて代替輸送も検討しました。仮にバスやタクシーが手配できれば、足場を踏み固め少しずつ誘導するという方法もあり得たかもしれません」

    「しかし、通常例のない雪の降り方だったため、周辺の一般道も大渋滞するなど混乱していました。各社とも手配ができる状況ではありませんでした」

    NHKによると、現場である三条市の積雪量(市内の消防署に設置した積雪計による)は11日朝で28cmだったが、その後急増。午後7時には77cmに達したという。

    市は午後9時ごろに「大雪に関する特別警戒宣言」を発し、「不要不急の外出を控える」よう防災無線で訴えている。

    そのような異常事態のなかで、400人を運ぶ車両の手配はできなかった、ということだ。

    電車は10時半前に復旧

    運行停止が数時間にわたる恐れもあったため、食料などの手配も同時に検討。安全を確保して、2度に渡って運搬・配布した。


    • 午前2時40分:飲料水
    • 午前5時前:カロリーメイトや乾パンなどの非常食

    12日午前9時までに、230名が電車から降りた。そのほとんどは、家族や知人などが現場近くの道路まで迎えにきたケースだ。申し出があった場合、社員がその都度誘導しながら案内をしたという。

    車内が混み合っていたこともあり、立ちっぱなしの人もいた。男性1人、女性4人の計5人の具合が悪くなったため、救急車の手配をしたという。

    除雪車での作業のほか、現場ではJR東日本やグループ会社の社員たちによる人力での除雪が進み、電車が止まって15時間以上が経過した12日午前10時26分ごろ、運転が再開したという。

    広報担当者は「大勢の方にご迷惑をお掛けしてしまったことをお詫び申し上げます」としたうえで、再発防止策を検討する意向を示した。

    「新潟は雪国であり、体制は整えてきたつもりでした。しかし、今回は特別な大雪ということもあり、このようなことが起きてしまった。原因を精査し、きちんと対応できるよう検討して参りたい」