森友問題で自殺した職員の弔問、麻生財務大臣は「訴訟起こされているので難しい」

    森友学園の問題をめぐり、「すべて佐川氏の指示です」などとする手記を遺して自殺した近畿財務局の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さん(当時54)。遺族が国や佐川宣寿・元理財局長を相手取った裁判を起こすなか、国会でも改めてこの問題が注目されている。

    森友学園の土地売買問題をめぐり、決裁文書の改ざんをさせられた後に自殺した財務省職員。

    「すべて佐川氏の指示です」などとする手記が報道され、遺族が国や佐川宣寿・元理財局長を相手取った裁判を起こした。

    3月23日午前の国会でも質問が相次いだ。麻生太郎財務相は、遺族への弔問について問われ「原告と被告になるため難しい」などと答えた。安倍首相も改めて、再調査の必要性がないと強調した。

    森友学園の土地売買をめぐっては、安倍昭恵夫人が名誉校長を務める小学校の土地として、鑑定価格が9億円以上する土地が実質200万円で売却されていたことが問題視された。

    さらに、問題がその後拡大するなかで、財務省が14件の決裁文書を改ざんしていたことも発覚。官僚による公文書書き換えという前例のない事態としても注目を集め、当時の佐川理財局長ら20人が処分された。

    週刊文春は3月18日、この問題をめぐり、近畿財務局の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さん(当時54)の手記を報道した。

    決裁文書の改ざんを強いられた赤木さんは2018年3月に自殺しており、手記には改ざんの詳細な経緯や関係者の実名とともに、「決裁文書の差し替えは事実です。元はすべて佐川氏の指示です」「学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました」などと記していた。

    また、赤木さんの妻は同日、自殺の理由が公文書改ざんにあるとして、国と佐川元理財局長に対し、約1億1200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

    遺族への弔問について問われ…

    3月23日午前の参議院予算委では、立憲民主党の福山哲郎参議院議員が赤木さんの手記について質問。

    麻生財務相は「公文書の改ざんは由々しきこと」「現場が抵抗していたが本省に押し切られた。(財務省には)そういう風土があることがよろしくない。二度とこのようなことがあってはならんと対応している」と語った。

    しかし、財務省による調査と手記の齟齬はないとして「新しい事実が発覚したわけではない」として再調査の必要性はないとの見解を示した。

    また、安倍首相も「最強の第三者機関と言われる検察がしっかり捜査をした結果が出ている」として、再調査の必要性がないことを改めて強調した。

    また、赤木さんの妻が麻生財務相の弔問を望んでいるという点について問われ、以下のように答えた。

    「弔問に伺いたいとは当初から一貫して申し上げています。しかし、訴状が上がってる。原告と被告になるため、裁判所以外で会うのは難しい。気持ちの話とはなかなか別の話になる。その点については、対応を検討していかないといけないだろう」

    これに対し、福山議員は「民事では関係がないのでは。なんでも訴訟で逃げるのはやめた方が良い。安倍政権のひどい特徴だ」と批判した。

    安倍首相の発言は「きっかけ」?

    森友学園の問題をめぐっては、2017年2月17日の衆議院予算委で安倍首相は以下のように発言している。

    「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」

    社民党の福島瑞穂議員はこの点について、安倍首相に「時系列でいったら首相の発言が赤木さんの自殺のきっかけになったのでは」と問うた。

    これに対し、首相は「きっかけとは、手記には書かれていないことは明確にしておきたい」と回答。

    さらに「総理を守るために佐川氏が指示し、死に追いやられた政治的責任はどう考えているか」という質問に対しては、安倍首相は「総理を守るために佐川さんが指示をしたという事実はまったく認められていない。事実に基づいた質問ではないため、お答えできない」とした。

    野党側は佐川氏の再喚問を求めている。

    UPDATE

    当初記事中で「社民党の福山瑞穂議員」としていましたが、正しくは「福島瑞穂議員」でした。訂正いたします。