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物議を醸すクジラの死骸写真 応募者に撮影した意図を聞いた

倫理的にアウト? それとも表現の自由?

海岸に打ち上げられたクジラの上で、ある男性がポーズを取っている作品が最優秀賞に選出された。題名は「征服」。

3月9日、北海道立オホーツク流氷科学センターが主催した第25回「オホーツクの四季」写真コンテストで最優秀賞(北海道知事賞)に選ばれた写真が物議を醸している。

Twitterではこの写真に対し、「いい気分はしなかった」、「生きてても瀕死のクジラの上に乗る行為を誉めるのは倫理観を疑う」など批判の声が相次いでいる。

一方で、「なんで不謹慎っていわれるのかが謎」、「表現の自由だし、別にいいんじゃないのって思う」と肯定する意見もある。

なぜ、この写真が優秀賞に選ばれたのか。朝日新聞によれば、審査した北海道写真協会の会員は「クジラは生きていると思った。その上に乗っかるなんて勇気があると思ったし、感動したので選んだ」と説明しているという。

批判を受け、北海道立オホーツク流氷科学センター所長の高橋修平氏は3月15日、応募者の男性が受賞を辞退したと発表した

この度は、当センター主催の「オホーツクの四季写真コンテスト」において、多くの方からフェイスブック等でご意見ご感想を頂いております。

お騒がせしている事案については、当施設における審査の判断基準が明確ではなく、自然や環境を研究する機関でありながら、それらへの配慮や認識が欠如していた点を原因と考え、多くの方に不快な思いをさせてしまい、猛省しております。

寄せられたご意見を受け、審査員と応募者に事情を説明しましたところ、ご本人様より辞退する旨のお話があり、最優秀賞(北海道知事賞)は「該当作品なし」と致しました。

今後におきましては、生命の尊厳及び人道の尊重について適切な配慮を欠くことのないよう、対処して参りたいと考えております。

応募した男性はBuzzFeed Newsの取材に対し、「たまたま海辺で見かけた風景を撮影した。他にも同じく撮っている人がいたから撮った」と撮影時の状況を説明。クジラだけの写真も撮っていたが、「(写真が)おとなしいから」と考え、人が乗っている写真をコンテストに応募した。批判については主催者側からの説明で初めて知り、「主催者側に迷惑をかけるのであれば辞退する」と伝えたという。

題名は「思いつき」で、「クジラの背中に乗ったという『征服』」を表現したかったとする。

「クジラの上に乗る行為を誉めているのでは」というネットの意見に対して「そんなつもりで出したわけではない。撮る人によって違う捉え方がある」と主張。今回の事態については「こんなに批判されるとは思わなかった。自分なりに反省しなければいけない」と話している。