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伊藤詩織さんが「この際ですから」と苦言。質問者に「私の下着を公開するな」

元TBS記者の山口敬之さんの主張を支持する文芸評論家が、伊藤詩織さんに質問。彼女は反論した後...。

元TBS記者の山口敬之さんとの民事訴訟で勝訴したジャーナリストの伊藤詩織さんが12月19日、記者会見を開いた。

会見終了後に別室で報道陣が伊藤さんを囲んで行った補足取材中、山口さんの主張を支持してきた文芸評論家の小川榮太郎さんが姿を現し、伊藤さんと直接やりとりする場面があった。

小川さんは、18日に山口さんが別の場所で開いた会見に、山口さんを支援する立場で登壇している。一方で伊藤さんは、19日に行われた山口さんの会見をジャーナリストとして取材した。

「私はおそらく日本、というか世界で、一番詳しく裁判資料から全て調べた人間です。そして、(雑誌で)3度にわたって詳細な議論を展開している」

小川さんははじめに自己紹介し、語り始めた。

「その観点から見ると、伊藤さんの今日までの証言は、やはりカルテとホテルの防犯カメラ映像という2つの最も客観的であるはずの資料と反していることが非常に多いと思っている」

「カルテも動画も公開されておらず、(裁判所による)閲覧制限がかかっている。その状況で、世界中のメディアの前で、性被害を訴えるのはアンフェアだと思う。だから、きちっと全部情報を公開し、公開情報をもとにもう一度、世界のメディアと向き合われる方がいい」

そして、伊藤さん側が閲覧制限を申し立てた証拠を公開したうえで、議論しようと持ちかけた。

「山口さんもそうだし、私もいちジャーナリストとして、この問題をもう少し明確に伊藤さんと議論できたらと思うんです。そういう機会があれば、応じていただけますか?」

始まった伊藤さんの反論

伊藤さんは時折、頷きつつ、小川さんの意見や質問に耳を傾けていた。そして、「ご質問ありがとうございます」と述べた後、まずカルテに閲覧制限がかかっている点について説明した。

「住所など個人情報が載っているからです」

続いて、ホテルの防犯カメラ映像については「聞かれたからお答えするんですけれど」と話したうえで、次のように語った。

ホテル側の映像は「他に映っている人にモザイクがかかっていないといけない」ため、伊藤さんがホテル側に数十万円もの金額を支払って提供された映像だと説明した。

「ですが、この映像を裁判以外の場所で公開すると損害が出かねないので、公開しないという一筆をホテル側に書かされました」

「私もこの映像は、とても重要なものだと思っています。なので、ぜひみなさんに見ていただきたいです。ですが、裁判で使用するということで提供いただいているので、みなさんには届けられていないんです」

大勢の記者らがいる中、続けた質問

伊藤さんは、続けて「ただ」と強調した。

「それにも関わらず、裁判資料となっている映像を、誰かが外部に流していることも事実です」

その場には多くの記者がいたため、伊藤さんは「ありがとうございました」と別の記者に質問の機会を与えようとしたが、小川さんは「あの、カルテについての」と質問を続けた。

「カルテの閲覧制限は住所等のみということですが、そうなると医師の診断部分は引用し、公に論じていいわけですね?」

すると、伊藤さんの代理人である村田智子弁護士が「裁判所で閲覧制限がかかっていない部分に関しては結構です。そう申し上げるしかありません」と回答した。

女性としての意見

伊藤さんは「この際ですから」と苦言を呈した。

「(小川さんが)第1回目に書かれた記事を拝読しました。そこで、一般に公開されていない下着の写真を、小川さんは見ています。山口氏を通して写真を見ていたそうなんですけれど、下着のブランド名と特徴が書かれていたんですよね」

「当時、私はすぐに全ての下着を洗濯してしまったので、(山口さんとのホテルでの件の際)どの下着を身につけていたか覚えていなくて、3つの黒い下着を警察に提出しています」

「それは(小川さんが)言及されていたものもあれば、他のものもありました。私はやはり女性として、下着を公開したくなかったです。それを公にされた。いろいろとお考えになって書かれてほしい」

「それが公共にとって意味のあることなのか。さらに、私はあなたから一切、取材を受けていないです。その中で、あなたがジャーナリストとして一方的に書かれるのはどうなのかと問いたいです」

「どんな服や下着を着ていても」

伊藤さんは「ここは、あなたとだけ会話をするための場ではない」と断りを入れた。

小川さんは、公益性の点については「もちろん」と言い、「では、改めて取材を申し込ませていただきます」と告げると、話すのをやめた。そして、別の記者が質問を始めた。

伊藤さんは以前、服装についてBuzzFeed Newsのインタビュー取材にこう語っている。

「どんな服や下着を着ていても、どんな状況に置かれても、同意がなければ同意ではありません」

「性暴力被害者を含むすべての人たちが、どんな服を着たってそれが批判されたり、『落ち度』とされたりするものではない。自由に自分の着たい服を着てもいいんです」